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武蔵野音楽学園

音高キャンパスライフ: 音楽 × “?” ――“音楽”と様々な教科とのコラボレーション ②

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 もう間もなく卒業を迎える附属高校3年生。本校では、そんな3年生を対象にいくつかの特別授業を組んできました。
 入間キャンパス内にあるスタジオを使用した“レコーディング体験”もその一つですが、今回は一般教科と音楽を結び付けた授業を紹介します。

♪ 「音楽×世界史」 ♪

 本校の音楽科教諭の伊東光介と地理歴史公民科教諭の秋山竜大がタッグを組み、「音楽×世界史」と題して、4回にわたる特別授業を行いました。
 テーマは、フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」です。
 世界史の授業で “フランス革命” を学びました。このフランス革命自体、ヨーロッパの価値観を揺るがすほどの大事件です。そんな渦中で生まれたのがこの「ラ・マルセイエーズ」ですが、なぜ、その後のヨーロッパにおいてこの曲は大きな存在の一つとなったのでしょうか。
 というのも、クラシック音楽の作品の中でもこの「ラ・マルセイエーズ」は、R.シューマンやP.チャイコフスキー、H.ベルリオーズ、C.ドビュッシーなど数多くの作曲家が編曲したり引用したりしています。授業では、これらの曲の紹介から始めました。
 生徒は、これだけの曲に「ラ・マルセイエーズ」が、多様な形で登場することにまず驚いていました。
 紹介した曲の中には、生徒にとって演奏経験がある曲も含まれています。C.ドビュッシーの「前奏曲集 第2集より 第12曲 花火」です。そこで、あらためて授業内で披露してもらいました。生徒とのコラボレーションです!
 「ラ・マルセイエーズ」は、いわゆる軍楽といえます。この「軍楽」そのものの歴史も考えさせられるテーマですが、18世紀末から19世紀にかけてのヨーロッパは、ナポレオンが登場し、正に戦争と無縁とはいえません。
 彼の没落後は、ウィーン体制がしかれ、七月革命、1848年革命へと続きます。
 また、経済的視点では、産業革命の時代です。楽器生産における転換期ともいえます。
 音楽史でいえば、古典派、ロマン派と続く時代であり、この時期には錚々たる音楽家が活躍します。
 このように、ヨーロッパの状況を多様な切り口で、かつ音楽と世界史のそれぞれの視点で、二人の先生の対話形式で展開しました。さらに生徒の視点が加わることにより、思いがけないケミストリーが生まれます。

 今回は、特に「ラ・マルセイエーズ×R.シューマン」と題して、シューマンの生きた時代を世界史の観点から考察し、具体的な曲としては、「ラ・ マルセイエーズ」のメロディーが引用されている「ウィーンの謝肉祭の道化 Op.26」を分析しました。この曲と、シューマンの他の様々な曲とのつながりから、最後はシューマンの音楽観、そして人間性というものにまで迫ることができました。
 音楽科の附属高校生にとって、シューマンは非常になじみのある作曲家です。
 今回の「音楽×世界史」では、自分達のシューマンに対する想いも、より多角的に展開できたかもしれません。また、「ウィーンの謝肉祭の道化 Op.26」を演奏する生徒もいます。シューマンの心の琴線に触れることで、より深い演奏表現が生まれるきっかけになってほしいと思います。

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