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武蔵野音楽学園

「自然」と「音楽」が出会う場所 ――入間キャンパス 

〈入間キャンパス×附属高等学校 vol.3〉

 6月6日(土)と13日(土)に、入間キャンパス:附属高校校舎にて授業公開が行われました。

 1年生の音楽理論(担当:伊東光介教諭)では実作品として、R.シューマンの歌曲『リーダークライス Op.39』から「月の夜」を扱いました。普段の授業で学んだことが、実際の作品の中でどのように表現されているか、今回の授業公開では少し細かく見ていきました。

 シューマンにとって1840年は歌の年と呼ばれ、この1年の間に130曲以上の歌曲を作曲したと言われています。この作品も同じ年に書かれました。また、1840年という年は、愛するクララとやっと結婚することができた年でもあり、この作品にもその想いが少なからず刻まれています。もともと文学に造詣の深かったシューマンですから、歌曲はまさにシューマンの思い描くものが、濃密に表現されていると言えるでしょう。

 この作品の詩はドイツの詩人、アイヒェンドルフによるものですが、自然が幻想的に表現され、情景的な世界から主観的な世界へと導かれる、短い詩ですが非常に味わい深い作品となっています。その詩をシューマンは、様々な高尚な技法で表現しています。

 前奏の「属長9の和音」という豊かな和音による空間的な開始は、聴く人にまさに“月”を浮かび上がらせるでしょう。詩が“天”と“大地”の比喩的な表現で始まっていることに対しても、音楽が魅力的な演出をしていると言えます。それ以降も詩は、“花”や“光”、“風”、“森”、“夜”、“星”などの言葉たちが幻想的に描かれていくのですが、それらをシューマンは、同じメロディーを何度も繰り返すという手法をとり、その中でピアノパートを微妙に変化させることによって、それぞれの情景に対応し、まるで自然が呼吸しているかのように展開させていくのです。最後は、《不完全な想い》を《不完全終始》という終止形によって歌のメロディーを閉じ、繊細な後奏に引き継がれて終わります。詩の内容が音楽によって、さらに魅力的なものになっていると言わざるを得ません。

 この作品もそうですが、自然を愛した作曲家はもちろん、自然がテーマになった作品は大変多いです。音楽を理解するためには、音として捉えるだけでは本質的な理解とは言えません。授業でもなるべく実作品に多く触れ、作品を読み解いていく力を養い、結果として個々の表現力向上に繋がっていくように心がけています。

 そして何よりここ入間キャンパスには、四季の移ろいを五感で感じ、さらに、「入間キャンパス」というここにしかない“大きな空間”で「音」を感じ、「音楽」を創り出していく環境があります。 

 今後、入間キャンパスでは、様々なイベントも予定されています(下記の関連リンクをご参考ください)。

 ぜひ、入間キャンパスに遊びに来てください。

関連リンク

武蔵野音楽大学附属高等学校(音楽科)

 〒358-8521 埼玉県入間市中神728

〈入間キャンパス〉

西武池袋線 仏子駅(南口)下車 徒歩5分 キャンパス内バス運行

Eメール fuzoku@musashino-music.ac.jp

TEL 04-2932-3063(附属高校直通)/04-2932-2111(代表)  FAX 04-2932-1114